一夜の奇跡は真実の愛を灯す～副社長の甘い誘惑に溺れて～

出会ったばかりなんだし、プライベートな話はまだあまりしてないから仕方ないけど…


でも、麗央さん…


お母様を亡くされて…つらかっただろうな…


『だから、人の痛みがわかるのかしらね…廉治さんは、折れそうな私に優しくしてくれて。この仕事を紹介してくれたのよ。丁寧に教えてくれた先輩と社長のおかげで私は立ち直れた。もちろん、残念ながら、廉治さんとはそれ以上の深い繋がりはないけどね』


波山さんは、1口、ビールを飲んだ。


『それでも…泣いてばかりじゃ明るい未来は来ないよって…そう教えてくれた社長に恩返しがしたくて…私は、いろいろあっても笑って頑張って生きようって…そう決めたの』


そうだったんだ…


だから、私にも優しく指導してくれてるんだ。


立派だな…本当に。


波山さんが立ち直れたように、私も…


麗央さんに恩返ししなきゃ申し訳ないって思えた。