センチメンタルナイト【完】
*
それから数年、右手が恋人になりつつある俺が夕紀に寄せる思いは健在していたものの、互いの関係に大きな変化は表れなかった。
二人きりで映画やらドライブに行っても進展することはない。
なぜなら夕紀はやはり火野のことが好きで、俺も俺で踏ん切りをつけられずにいたからだ。
恋愛に関して意外と内気な夕紀の相談相手になっている身でありながら、いきなり「火野は諦めて俺にしろ」と告白するチャンスはいくらでもあった。
だがそれを実行に移せなかったのは、夕紀が火野へ向けている想いを否定し踏みにじってしまうような気がしてならなかった、なんて免罪符染みた言いわけがあったのだ。
「水前寺のヤツ、すっげー幸せそうな顔してやがる」
真っ白なテーブルクロスの上に次々とご馳走が運ばれてくる中、円卓を挟んで向かい側に座る木之本が口角を上げる。
俺はそれに頷いてから、品名も分からないどこぞの外国で生まれた料理を口に運んだ。悪くない味だ。
それから数年、右手が恋人になりつつある俺が夕紀に寄せる思いは健在していたものの、互いの関係に大きな変化は表れなかった。
二人きりで映画やらドライブに行っても進展することはない。
なぜなら夕紀はやはり火野のことが好きで、俺も俺で踏ん切りをつけられずにいたからだ。
恋愛に関して意外と内気な夕紀の相談相手になっている身でありながら、いきなり「火野は諦めて俺にしろ」と告白するチャンスはいくらでもあった。
だがそれを実行に移せなかったのは、夕紀が火野へ向けている想いを否定し踏みにじってしまうような気がしてならなかった、なんて免罪符染みた言いわけがあったのだ。
「水前寺のヤツ、すっげー幸せそうな顔してやがる」
真っ白なテーブルクロスの上に次々とご馳走が運ばれてくる中、円卓を挟んで向かい側に座る木之本が口角を上げる。
俺はそれに頷いてから、品名も分からないどこぞの外国で生まれた料理を口に運んだ。悪くない味だ。