センチメンタルナイト【完】
今日は水前寺の結婚式だった。
相手は水前寺が高校時代のバイト先がキッカケで付き合いだした同級生で、夕紀とも親しい女子だ。
夕紀は心底から二人を祝福しているようだった。
この時はまだ穏やかだった夕紀だが、


「俺も年内には籍を入れるつもりなんだ」


二次会で火野から知らされたこの言葉が引き金となったのか、突然酒を豪快に飲み始めた。
火野からあまり他言しないよう口止めされていたものの、事実を知っていた俺はやるせない気持ちにさせられる。

先刻長い時間トイレにこもっていたようだったが、恐らく泣いていたのだろう。
夕紀の目元は不自然な赤みを帯びている。
遂に想い人である火野本人から今付き合っている彼女との結婚の予定を聞かされてしまったのが主因に違いない。
他の連中も目を丸くしていたところから察するに、相変わらず火野は自分の恋沙汰について語らない傾向が強いとみた。
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