余命38日、きみに明日をあげる。
「さ、さっきのって?」
「いい逃げみたいな感じで、勝手に帰って」
「だって……」
百歩譲って、あのときはわからなかったとしても、もうその理由はわかっているは
ず。告白されたんだろうから。
沈黙が、この部屋を包む。
「悪いけど、断ったし」
重苦しい部屋に、琉生の声が落ちた。
あれだけ今まで告白を断ってきた琉生のこと。簡単にOKするとは思えなかったけれど。
「ど、どうして……」
歩美ちゃんの想いには応えてほしかった気持ちが強くて、思わず本音が漏れた。
「どうしてって……これだけは受け取ってきたけど」
手には数時間前に見た、可愛らしくラッピングされた歩美ちゃん手作りのマカロン
入りの箱。
なんだかまるで、私が振られたみたいに胸が痛くなった。
歩美ちゃん、一生懸命だったのに。
「……つき合ったらいいのに」
「なんで今回はそんなに食い下がるんだよ。いつも断ったって何も言わないだろ」
「歩美ちゃんは特別なの。本当にいい子で……歩美ちゃんならいいかなって思うんだもん」