余命38日、きみに明日をあげる。
「でも、遠くなっちゃった……」
そして、寂しそうにつぶやく。
「琉生、こっち来て……」
「ん?」
莉緒がもじもじしながら言った意味が分からず首をかしげる。
こっち、とは?
莉緒がポンポンとたたくのは、シーツの上。
そして、少し向こう側にずれる。
「えっ……」
ベッドの中に入れってことなのか?
意味を理解したら、一気に体中に火が付いたように熱くなった。
さっきまで俺の方が余裕だったくせに、完全に形勢は逆転だ。
「わあっ、もしかして照れてる?」
「うるせー……あたりまえだろ」
ボソッとつぶやいて、俺は靴を脱いでベッドのなかに入った。
こうなったら勢いだ。
けど、めっちゃハズイ。
今看護師さんが来たらなんて言い訳しよう。そんなことばかりが頭にうかぶ。
ベッドの中は、莉緒のぬくもりで心地いい温かさだった。
「そっち落ちるなよ?」