余命38日、きみに明日をあげる。

「あんまり遅くまで起きてるんじゃないわよ。昨日も遅くまで電話していたみたいだけど」

「電話……?」

電話なんてした覚えはない。

何のことを言われているのか、一瞬分からなかったが。

そうか。

トーヤたちと話している声が聞こえていたのか。しかも、俺の声だけ。

「ああ、分かったよ」

存在が見えていないのなら、声も聞こえなくて当然だ。俺が一人で喋っているように周りは思うんだ。

気を付けないと、俺はただの変な奴になってしまう。


***

「で、毎日来るわけ?」
 
部屋の温度がグッと下がった0時近く。

ふと部屋を見ると、今日も死の神──トーヤが来ていた。

もうこの気配にも慣れた。

「まあ、できる限りはな」
 
勝手に俺のベッドに腰かけ、まるで自分の部屋のように居座っているトーヤを見て、俺はため息を吐いた。

「そんなに来るなら、莉緒の願いでも教えてくれよ」

俺は声のボリュームを落として言った。
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