余命38日、きみに明日をあげる。

「それは俺にもわからない」

「ほんとかよ」
 
願いがあるのを知っているなら、内容だって知っていそうなものだ。

どこまで信用していいのだろう。

「じゃあ、これはわかるか?」

「なんだ」

「莉緒のドナーになる人の魂を取る予定……とか」

「……」
 
トーヤは、無言のままじっと俺を見つめた。
 
不謹慎なことを言っているのはわかっている。

でも、誰かの死が、莉緒の命につながる。

そう思ったら、莉緒が生き延びるためにも、その誰かの死の予定がない限り……。

「担当じゃない者のことはわからない」
 
トーヤは冷たく言い放ち、棚にさしてあった漫画を手に取った。

漫画なんて読むような柄じゃないくせに。

問いかける隙を与えさせないかのように、無言のままページをペラペラめくる。

「……おっとっと!」
 
張り詰めた空気を壊すように、今日も少し遅れて転がるように俺の部屋に入ってきたのは、ナオ。
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