ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
そういうなら、なぜ3年前に私を選んでくれなかったのだろう…
「晶兄、私の気持ちわかってるよね。振ったのは晶兄だよ」
「うん…ずっと後悔してた。だから、ノンちゃんとの時間を取り戻したい」
後ろからのクラクションに、甘くなりそうだった雰囲気は無くなり、晶兄は車を走らせた。
ホッとして反面、残念な気持ちが表情に出ていたのだろう。膝で握っていた手を、彼の手のひらがぎゅっと握ってきて、宥めるようにポンポンと指先が動いている。
それが、私の心を見透かしてるようでくすぐったい。
短いドライブもマンションに着いたことで、終了なのに離れ難く車から降りれないでいる。
握られていた手が離れ、ガチャンと私のシートベルトが外れた音にビクッとなった途端、横から伸びてきた手が私を抱きしめていた。
優しく頭を撫でる手が気持ちいい。
「さっき、元気がなかったようだけど、職場で何かあったの?」
そういう優しさは、彼女でもないのにしないでほしい。
「ううん、なんでもないよ」
「そう⁈」
「うん」
抱きしめられていた腕が緩み、すぐそこに晶兄の顔があった。
「話したくなったらいいなよ」
頭をポンポンと撫でられて、子供扱いされてるようでムッと唇を尖らせた。