政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「おはよう、すごくいい匂いがする」

「おはよう、零士君。ご飯ちょうどできたよ」

「ありがとう」

 今日のご飯も零士君は「おいしい」と言ってすべて食べてくれた。そして身支度を整え、家を出る時間になった時。

 お弁当が入ったランチバッグを後ろに隠して玄関まで向かう。ちょうど彼は私に背を向けて靴を履いているところだった。

「あの、零士君」

「ん?」

 履き終えて振り返った彼に、両手でランチバッグを差し出した。

「お弁当作ってみたの。もしよかったら食べて」

「お弁当って……凛々子が作ってくれたの?」

「うん。あ、もちろん外回りや会議が忙しくて食べる暇がないなら、無理に持っていかなくてもいいからな。私が食べるし」

「なに言ってるんだよ、食べるに決まってるだろ?」

 そう言って零士君は私からランチバッグを受け取った。
< 129 / 225 >

この作品をシェア

pagetop