政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 入学式や卒業式などはもちろん、仲の良い両親たちとともに家族旅行に行けば、必ずふたりで写真を撮られてきた。

「どれも、無理して笑っている」

 写真を見て苦笑いしてしまう。

 最近撮ったのは、成人式の時。私も零士君も笑って映っているけれど、心から笑っていないのが見てわかる。

「やっぱりお互いのためにも、婚約は解消してもらうべきだよね」

 きっとおじさんの会社の後継者という立場上、零士君からは言えないはず。私から言うべきなんだ。

 それに私には、零士君のように背負うものがない。幸い、両親のおかげでお金を稼いで生きていけるだけのスキルは身につけた。

 大学では就職に有利な資格をいくつか取得したし、たとえ深山家と縁を切られたとしても、生きる術はある。

 なにより私には文也がいる。彼と最低限の暮らしができれば十分。そう思える相手と出会えて私は幸せだと思う。

「零士君も、そんな相手と出会えればいいのに、な」

 彼のことは嫌い。でも幼い頃から婚約者として一緒に過ごしてきたんだもの。それに千鶴ちゃんのお兄ちゃんだし。……不幸になってほしいとは思えない。
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