政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「お邪魔してもいいかしら? おいしいケーキを買ってきたの。もちろん三人分買ってきたから、零士さんと三人でいただきましょう」

 本音を言えば笹野さんを家に上げたくない。でも、零士君とこれから先も一緒にいたいなら、笹野さんは避けて通れない道。

 だって笹野さんは零士君のことが好きなんだよね? だからこうして私を訪ねてきたんでしょ? それなのにここで逃げたらだめだ。

 そう自分を奮い立たせた。

「はい、どうぞお上がりください。じきに零士君も帰ってくると思うので」

 笑顔で言うと、少しだけ笹野さんの表情が険しさを増す。

「ありがとうございます。ではお邪魔させてもらいますね」

 目は笑っているけれど、その奥には怒りが見え隠れする。

 エレベーターに向かう道も、そしてエレベーター内もお互い口を閉ざしたまま。

 きっと笹野さんの目的は言葉通り、私と話をすることだよね。もしかしたらストレートに零士君と別れてって言われるのかもしれない。
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