政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「私、知ってるんですよ。凛々子さんが零士さんと結婚する間際まで、別の男性と交際していたことを」

「どうしてそれを」

 珈琲の芳しい香りが漂う中、思わず声を漏らすと、笹野さんは鋭い目を私に向けた。

「今は便利な世の中です。ちょっと調べればすぐにわかりましたよ、ですが、凛々子さんのプライベートなことを調べたことについては謝罪します」

 そう前置きして笹野さんは私との距離を縮めた。

「零士さんと婚約していながら、一年半もの長い間、他の男性と交際していた人が、零士さんを幸せにすることなどできるはずありません。なにより零士さんに失礼だとは思わないんですか?」

 笹野さんの言う通りで返す言葉もない。

 だって私、文也の思惑に気づくことができず、恋に溺れて周りが見えなくなっていた。

 両親を裏切り、零士君にも最悪のかたちで婚約破棄するところだったのだから。後悔してもしきれない。
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