政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「私がいけないの! 零士さんと過ごした思い出を話したから。それで凛々子さん、怒っちゃって……」

「違う、零士君、信じて」

 首を横に振って必死に否定する。

「ごめんなさい、凛々子さん。気分を害しちゃって。でも、だからといって珈琲をかけるなんてあんまりよ。痕が残ったらどう責任をとってくれるの?」

「話しはあとだ。まずは手当てを急ごう」

 零士君はそう言うと、笹野さんを抱き上げた。

「凛々子、氷を持ってきてくれ」

「あ……うん」

 そうだ、まずは笹野さんの傷の手当てが優先だ。

 笹野さんを抱えて浴室に向かう零士君。すぐに冷凍庫の中から氷を取り出し、袋に詰めていく。

 零士君はどう思った? 私より笹野さんを信じている?

 その答えを聞くのが怖くて、逃げ出したい衝動に駆られる。でも、早く氷を持っていかないと。

 冷凍室にあるすべての氷を袋に詰めて、浴室へと急ぐ。そこでは零士君がシャワーで笹野さんの足を冷やしていた。
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