政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「零士君、これ」

「ありがとう」

 氷を渡すと、零士君は笹野さんの足に押し当てた。

「それほど赤くなっていないし、痕は残らないだろう」

 零士君の話を聞き、ホッと胸を撫で下ろす。

 よかった、ひどい火傷じゃなくて。

「どうだ? 綾子。まだ痛むか?」

「大丈夫です、零士さん」

 心配する零士君を見て、笹野さんは嬉しそう。だけど『大丈夫』という答えを聞いた零士君は、笹野さんに自分で氷を当てるよう言って立ち上がった。

「一応病院に行ったほうがいい。待ってろ、今タクシーを手配するから。それと笹野社長にも連絡を入れておく。きっと社長ならすぐに病院に駆けつけてくれるだろう」

「えっ……どういうことですか? 零士さんも病院に付き添ってくれるんですよね?」

 慌てた様子で聞く笹野さんに、零士君は首を横に振った。

「俺がいなくても大丈夫だろ? 応急処置もしたし、歩けるはずだ」

 突き放す零士君に、驚きを隠せない。さっきの様子から笹野さんのことを心配していたし、私も病院まで付き添うものだと思っていたから。
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