政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 すると次の瞬間、零士君は笹野さんの身体を引き離した。

「零士さん?」

 戸惑う笹野さんに、零士君は真剣な面持ちで言った。

「綾子に珈琲をかけるようなことを、凛々子は絶対にしない」

「えっ……?」

 力強い声で言う零士君に、笹野さんは目を見開いた。そんな彼女に零士君は続ける。

「ふたりの間になにがあったかわからないけど、怒りを募らせて人を傷つけるようなことを、凛々子はしないさ」

 零士君……。

 信じてくれたんだ、私のことを。

 それが嬉しくて目頭が熱くなる。

「なにを言って……。どうしてそう言い切れるんですか? 現に私は火傷しているんですよ!?」

 興奮し、声を荒らげる笹野さん。だけど零士君は取り乱すことなく言った。

「本当にその火傷は、凛々子のせいなのか? 綾子の不注意で負った傷じゃないのか?」
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