政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 でも今日ばかりはこれから文也に打ち明けることを考えると、ゆっくりと生き物たちを見ていられない。

 それに閉館時間も迫っている。早く切り出さないと。

 隣に目を向けると、文也は優しい顔をして水槽を眺めていた。

 彼のこの表情も好き。優しさが滲み出る笑顔が大好き。

 好きって気持ちが溢れ、私はゆっくりと口を開いた。

「あのね、文也……聞いてほしいことがあるの」

「ん? なに?」

 小首を傾げて聞いてきた文也に、自分の想いを伝えたい。

「文也は私の家のことを知っているよね? それでも変わらずに接してくれたことが、本当に嬉しかったの」

 大学で出会った人たちの中で、私自身を見て接してくれたのは文也だけだった。それは付き合い始めてからもそう。

「なんだよ、改まって。そんなの当たり前だろ? 家のことが、凛々子を好きになるのになにが関係しているっていうんだよ」

 笑って言われた言葉に、胸がギュッと締めつけられる。

 文也にとって当たり前のことが、私にはすごく、すごく嬉しいことなの。

「ありがとう、文也。……私、これからもずっと文也と一緒にいたい」

「俺もだよ」
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