政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「ちょっと待ってくれ。それじゃ凛々子は大学を卒業後、父親の会社を継ぐことなく、その婚約者と結婚するってことか?」

「えっ? あ、うん。そもそも私はお父さんの会社を継ぐつもりはないし、お父さんも最初から私に継がせる気はなかったと思う」

 私にはずっと早くに結婚して、幸せな家庭を築いてほしいと願っていたようだし。だから零士君との婚約を早々に決めたんだと思う。

「なんだよ、それ。どうしてもっと早く言ってくれなかったんだよ」

「ごめん、ちょっと言いづらくて……」

 次の瞬間、文也に鋭い眼差しを向けられた。

「最悪。一年半が無駄だったわけだ」

「……え」

 深いため息とともに出た言葉に、耳を疑う。

 どういうこと? 無駄だったって私と付き合っていたことが?

 聞きたいのに声が出ない。そんな私に文也は冷たい目を向けた。

「俺も他の男と同じだよ。凛々子じゃなくて、凛々子の父親が経営している会社が目的でお前に近づいたんだ。最初から凛々子のことなんて好きじゃなかったよ」

「う、そ……」
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