政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 だって文也、私のこと好きって言ってくれたよね? ふたりで一緒にいる時はいつも笑っていて、楽しそうだった。

 信じられずにいる私を文也は、せせら笑う。

「みんなお金目当てで近づいているのを知っていたからさ、俺は違う方法で近づいたまでだよ。案の定、凛々子は俺に好意を抱いたわけだろ? 作戦成功して、このまま凛々子と結婚となれば、俺も大手企業に就職できて、あわよくば社長になれると思ったのに」

 悔しそうに舌打ちする文也を目の前にしても、これが現実だと実感が湧かない。悪い夢を見ているよう。

「その可能性はもうなくなったわけだ。だったら凛々子と付き合っている意味がない。お前に金以外の魅力なんて、なにもないから。最初からずっと好きじゃなかった」

 はっきりと告げられた「最初からずっと好きじゃなかった」の言葉に、頭が真っ白になる。

 私に声をかけてくれたのも、私自身を見てくれたと思っていたのも、優しくしてくれたのも、好きになってくれたのも、全部が嘘だったの?

 これまでふたりで過ごした日々が、走馬灯のように頭を駆け巡る。
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