政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 一瞬見られていたことが恥ずかしくてすぐに俯いたけれど、見覚えのある姿に振り返った。

「やっぱり凛々子だ」

 そう言って恨めしい目を向けたのは、久しぶりに会う文也だった。

「文也……」

 会うのは、水族館に一緒に行った日以来だ。お互いあの頃はバイトを辞めていたし、大学でも会うことはなかったから。

 付き合っていた頃はまだ就職先が決まっていなかったけど、スーツを着ているところをみると、無事に内定が出たのだろう。

 だけどどこかやつれ、疲れているように見える。

 私が彼の姿をまじまじと見ているように、文也もまた私を上から下まで見た後、嫌悪感を露わにした。

「いいよな、主婦と言う名の永久就職ができて。ずいぶんと着飾っているけど、それもどうせ旦那の金だろ?」

 皮肉めいたことを言うと、文也は声を荒らげた。

「凛々子のせいで、俺がどれだけ苦しくて、つらい目にあったかお前は知らないだろ?」

「えっ? どういうこと?」
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