政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 どれくらいの時間、抱き合っていただろうか。少しして零士君は何かを思い出したように「あっ」と声を漏らした。

「凛々子、急ごう」

「えっ?」

 私の身体を離すと、地面に落ちているカバンや紙袋を拾い上げた。だけど紙袋から落ちたと思われる、綺麗にラッピングされた小さな箱を取り忘れている。

「零士君、これ」

 代わりに拾うと、零士君は慌てて私から奪った。

「ありがとう。……見ちゃったよな?」

 恐る恐る聞いてきた零士君に、目をパチクリさせてしまう。

「えっと……うん」

 明らかにプレゼントだよね? え、もしかして私に?

 すると零士君は深いため息を漏らした。

「やっちゃったな。せっかくサプライズにしようと思ったのに。あ、それよりも時間! 凛々子、急ぐぞ」

「う、うん」

 状況が飲み込めない私の手を引き、零士君は走り出した。

 サプライズってなんだろう。もしかして結婚記念日だから? それなのにどうしよう。私、零士君にプレゼントなんてなにも用意していないのに。

 焦る中、零士君に腕を引かれてやってきたのはクルージングの乗船場。

「零士君、これに乗るの?」

「あぁ」
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