政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 お父さんとお母さんだって、私に失望するはず。

 もう、なにもかもがどうでもよくなる。

 なかなか涙は止まらず、何度も涙を拭っていると、その手を彼に掴まれた。

「婚約解消なんて、絶対にしない」

 真剣な声で言われた言葉に、胸が跳ねる。

「千鶴から聞いた。凛々子、結婚は本当に好きになった相手としたいって。それは俺も同じだよ。……昔からずっと」

「どういうこと?」

 聞き返した時、タクシーは目的地に到着した。

「着きましたよ」

「ありがとうございます」

 そう言うと零士君は最後に私の傷口に絆創膏を貼り、運転手に一万円札を渡した。

「おつりは大丈夫です」と言い、私の手を引きタクシーから降りる。

 目の前には高層マンションがそびえ立っている。ここってもしかして、零士君がひとり暮らししているマンションじゃない?

「こっち」

「ちょ、ちょっと待って」

 私の手を引いてエントランスへ向かおうとする零士君を、必死に引きとめる。
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