政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 だって今日はいわゆる結婚初夜だ。それなのに、なにもしないの?

 びっくりして彼を見れば、至近距離で目が合ってドキッとしてしまう。だけど少しでも動けばキスしちゃいそうで、微動だにできない。

 トクン、トクンと胸が高鳴る中、零士君は真剣な顔で言った。

「凛々子が俺を好きになってくれるまでなにもしない。……いや、例外はあるな。凛々子からしたいって言われたら、迷いなく襲うと思うし」

 最後は冗談交じりに言って笑う零士君。

 もしかして私の緊張を解こうとしてくれている?

「でも今夜は凛々子が俺のものになった特別な日だから、こうして抱きしめることだけは許して」

 甘い言葉を囁くと、さらに抱きしめる腕の力を強めた零士君に胸がキュンとなる。

「……うん」

 返事をするだけで精いっぱいだった。

 どうして零士君に触れられると、こんなにドキドキするんだろう。そして嫌じゃないのかな?

 やっぱり私、零士君に惹かれているの? つい半年前まで文也のことが好きで、零士君のことなんてあんなに嫌いだったのに。
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