政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 そして私が社長令嬢と知っても、変わらずに接してくれた唯一の人だった。
 話し上手で一緒にいると楽しくて、好きになるのにそう時間はかからなかった。

 好きだと自覚してすぐに文也から告白された時は、どんなに嬉しかったか。
 人生で一番幸せな瞬間だった。

 付き合い始めてからも文也は変わらず優しくて、一緒にいるだけで温かな気持ちで満たされた。こんな人は初めてだった。

 だからこそ文也に、婚約者がいることを打ち明けられずにいた。

「付き合い始めて一年半が経つけど、好きって気持ちは変わっていないよ。それにこれから先もずっと一緒にいたいと思ってる」

「凛々子ちゃん……」

 結納の日が二ヵ月後に決まった。そしてあと半年後には大学を卒業する。そうなれば私は零士君と結婚しなければならない。

 その前にすべて打ち明けたいと思ったの。婚約者がいるけど、文也と一緒にいるために破棄してもらうこと。そうなったら、家族の縁を切られてしまうかもしれない。だって私と零士君の結婚には業務提携も絡んでいるから。
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