あの夢の続きをもう1度描けたら

***


騎士はこちらへ一目散に走ってきて、わたしは覚悟を決めた。

きっとわたしを殺すか、捕まえたりするはず……そう思っていた。


だが騎士は剣を振るったがわたしを刺さなかった。


「なんで……」

「ヒナノ様。ひとつアドバイスです」


耳を疑った。


なぜわたしにアドバイスを……?

そしてなんのアドバイスをするの?


「今唱えている呪文は光魔法の威力を弱めるためのものです。オススメいたしません」


それが理由で魔法が使えなかったというなら納得できる。だけど信じていいかわからない。


ユキから借りた魔法の指導書には、この呪文が一番の初歩だと書いてあった。

本が間違えるなんてことあるんだろうか。


アドバイスを貰ったものの、余計混乱してしまった。


「魔法は己の心を唱えることです」


心を、唱える……。

< 119 / 316 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop