純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―

 そして、大事なプレゼントも用意してある。彼女がこれらを目にしたとき、きっと笑顔で喜んでくれると信じている。ふたりの間にあるかすかなわだかまりもなくなってしまえばいい。

 そう願ってすべての用意を整えた午後六時、普段なら睡は帰っている時間のはずだが、今日もまだ現れない。


「ったく、今日もか……」


 腕時計を見下ろし、ついひとり言を漏らした。待っていると一分がとてつもなく長く感じられる。

 ついに痺れを切らし、時雨はコートを羽織った。就業時間はとっくに過ぎているのだから、迎えに行ってもいいだろう。

 冬の澄んだ月が見下ろす中、もどかしい思いを白い息に乗せ、自然に早歩きになる足でヱモリに向かう。人通りはめっきり少なく、おそらく皆どこかでクリスマスを楽しんでいると思われる。

 逸る気持ちを抑えて静かな住宅街の道の角を曲がったとき、時雨の目に思わぬ光景が飛び込んできた。

 着物の上に長羽織を身につけた妻が、地べたにぺったりと座り込んでいる。今にも泣きそうな顔をしている彼女の横には、四角い箱が無造作に転がっていた。
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