純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―

 ゆっくり大きく見開かれる睡の瞳に、揺らめく炎に交ざって輝きが映り込む。


「え……えっ!?」
「籍を入れてから頼んでいて、仕上がりがちょうどこの時期に重なってね」


 動揺を露わにする睡に対し、時雨は落ち着き払っている。

 先日、商店街に出向いたのは、そこに構える宝石店で結婚指輪を受け取るためでもあった。兼聡の件もあり、早く睡が自分の妻だと主張できるものが欲しかったので、嵌めることができて安堵している。

 ただ、結婚指輪というものはまだ一般的ではない。睡は指輪を目にしたことすらなかったらしく、感極まった様子でまじまじと観察している。


「これが、指輪というものですか……?」
「ああ。君は俺の(つがい)だという証だ」


 綺麗な横顔を見つめて告げると、彼女はまた瞳を潤ませて時雨に向き直る。


「こんなに素敵なものを……ありがとうございます。本当に、夢みたい」


 小ぶりなダイヤモンドがひと粒輝く指輪を目の前に寄せて、心から嬉しそうにじっくり眺める。そんな睡を見ているだけで、時雨も満たされた気持ちになった。

 しばし感動に浸っていた睡は、ふいに眉を下げてしゅんとする。
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