純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
普段通りの仕事を終え、午後七時になる前に帰宅すると、着物に割烹着をつけた睡が夕食を食堂に運んでいるところだった。
「時雨さん、おかえりなさいませ!」
「……ああ」
明るく迎えられ、なんだかむず痒くなる。睡の存在が増えただけで、今日はやけに家の中が華やいでいる気がした。
キッチンから菊子も姿を現し、いつにも増してニコニコしている。
「睡様が家事を手伝ってくださるので、とても助かりましたのよ。女同士のお話もたくさんできて、四半世紀若返った気分です」
「菊子さんとご主人の馴れ初め、とっても素敵なんですよ~」
うふふ、と楽しそうに笑い合うふたり。時雨はもうこんなに仲よくなったのかと驚きつつ、自分がここに混ざるのは場違いな気がしていた。
微妙に肩身の狭さを感じ、ひとまず居間のソファにバッグを置こうとしたとき、窓際に花が飾ってあることに気づく。緑の長い葉がすっと上に伸び、白い六枚の花びらをつけた水仙だ。
「その花も君が?」
睡に尋ねると、彼女は盆を抱えて隣にやってくる。