この恋が手遅れになる前に
この先の展開を想像して体が熱くなる。それは涼平くんも同じなのか、至近距離で見つめられて捕らわれたような感覚に陥る。
「奏美さん、俺を好きって言って」
涼平くんの手が顔から首へ、そしてゆっくりと滑り降りて浴衣の上から胸を包まれる。
ついこの間まで女性経験がなかったはずの涼平くんに翻弄される私は、もう手遅れなほどに惹かれている。
「涼平くん……好き……」
目を見つめて囁くと、色気を纏った彼は照れたように笑った。
どちらともなく唇を合わせてゆっくり膝をつく。帯が解かれて浴衣が開かれ、私の体が露わになる。そうして唇を重ねながら布団の上に倒れこんだ。
「ねえ……加藤さんにこの部屋に入ったところを見られたよ……社員旅行中なのに、まずいよ……」
「俺はまずいなんて思ってませんよ。もう周りに知られてもいい……」
薄暗い部屋に置かれた照明のわずかな光で、私を組み敷く涼平くんの顔に色気が増す。
私は頭の中で他の社員への言い訳を考えていた。
会社のイベント中に個室で何をしちゃってるのだろう……。加藤さんはきっとすごく怒ってる。明日は何を言われるのか分かったものではない。
「奏美さん、この期に及んでまだ俺以外のこと考えてる?」
「っ……だって……」
こんなこと恥ずかしい。理性が飛んで乱れていく自分を見せることが。
「今夜から本当に俺だけを見てください。俺の全部は奏美さんのものです」
そう言って胸に顔をうずめられて体が小さく跳ねる。
「それから、どんな奏美さんも俺は好きです」
力強い言葉に心が満たされる。
「涼平くん……今夜はずっとそばにいて」
ちゃんと言えた。望みを言葉にできた。
「今夜と言わず、奏美さんが望めばいつでもそばにいます」
その言葉に微笑んで目を瞑ると、涼平くんの唇が優しく私の唇に落ちた。
END


