恋愛境界線
「心配はしていない。ただ、夕飯を一人分無駄にするのが勿体無いだけだ」
……まぁ、そんなことだろうと思ったけど。
でも、何だろう。若宮課長の意地の悪い口調が、あんまり嫌じゃない。
それどころか、自分の家に帰ってきたみたいに妙に落ち着くというか……。変なの。
まるで、出迎えてくれているかの様に、当たり前のごとく玄関先に並んでいる私のスリッパ。
この間、ソファベッドを買いに行った際、一緒に買った私専用のそのスリッパを履き、慌てて課長の背中を追う。
「若宮課長ー!私、食べます、それ。朝食にします!」
「……君は朝から、豚カツを食べる気なのか?」
「わっ、昨日は豚カツだったんですか!?お肉、好きなので朝でも余裕ですっ」
昨夜はワインを飲んだけど、二日酔いとまでは行かなくて、そんな翌日は普段よりガッツリ食べたい気分になる。
気を遣ってとかじゃなく、本心から食べたいと言うと、課長は呆れ気味に温め直した豚カツを食卓に並べてくれた。