恋愛境界線
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「遅よう。居候の身分で朝帰りとは、いいご身分だね芹沢君」


そーっと玄関のドアを開けた私の前に、洗面所から出てきた若宮課長が立ちはだかった。


洗顔を終えたばかりなのか、顎の辺りを滴る水滴にタオルを当てている。


色っぽいとか思うより先に、女顔なだけに、髭が生えるという当たり前の事実にさえ違和感を感じてしまう。


「お早うございます。てか、まだ六時半前ですよ?全然遅くないじゃないですか」


「お互いのプライベートには干渉しない約束だけど、連絡の一つくらい入れようとは思わなかったのか、君は」


もしかして、少しくらいは私のことを心配したりとか、したんだろうか……?


夕食は一緒に、なんてルールがあるわけでもないけれど、自然といつも一緒に摂っていたから、だから、もしかして、昨日の夕食も私を待っててくれたりした……とか?


「えっと、すみません。ご心配をおかけしたみたいで……。これからは、遅くなる時は事前に連絡しますね」


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