恋愛境界線
見られたなら尚のこと、このドアを開けられるはずもないのに、課長に引き下がる気配はない。
「芹沢君、早くここを開けなさい」
「こういう時は、例え見たとしても、見てないって答えるのが優しさってモンじゃないですか!」
「何を今更。昨日だって散々見たっていうのに」
「えっ!昨日も見た!?う、嘘、ですよね……?」
「何が嘘だ。君の服を脱がせたのは私だって、ついさっき説明したばかりじゃないか」
そうだけど、全くもってその通りなんだけど。
一緒のベッドに寝ていたインパクトが強すぎて、下着姿を見られたかもしれないってことにまで頭が回らなかった。
「大体、こっちは見たくなくても見えてしまったんだから、君に謝罪の言葉を言われても、非難される謂れはない」
人の下着姿を二度も見ておきながら、どうしてこの人はこんなにも開き直った様な態度が取れるのだろうか。
「課長のせいで、目から鼻水が滴り落ちそうです」