恋愛境界線

「えっ?どうして、ですか……?」


だって、この間は『よくやったな』って認めてくれたのに。


昨日だって、プレゼンの準備をしていた私に、何も言わなかったのに。


なのに、どうして今日になって突然こんなことを言われるのか、まるで意味が判らない。


「これを見て」


答えをはぐらかされた気分になりながら、若宮課長に差し出された紙を黙って受け取る。


視線を落とした瞬間、息を飲んだ。


「こ、れ……」


そこにプリントされていたのは、私と蓮井さんが考えたデザインと酷似したパクトケース。


色は真っ白で、ロゴのレタリングや使用されているビジューの種類は若干違っているものの、明らかに蓮井さんのデザインを基にしていることが一目で窺えるデザインだった。

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