恋愛境界線

「これは、今日他社から発表された新商品のパクトケースだ」


確かに、ロゴのブランド名は他の化粧品メーカーのもの。


「どういうことですか?どうしてこれが、他の会社から発売されるんですか?」


「……確証はないが、誰かがうちのデザイン画を余所に流したとしか考えられない」


「誰かって……そんな、嘘ですよね?」


信じられない事態に、『嘘ですよね』と口は動いたものの、自分でもそれしか考えられなくて


一体誰が?どうして?と、疑問が頭の中を渦巻く。


「パクられたなら、訴えれば……」


「いや。証拠がない」


「証拠なんて、うちには原画が手元にあるんですから、これが証拠になるじゃないですか!」


蓮井さんのデザイン画と、それに似たデザインがプリントされた紙を並べて若宮課長に突き出した。

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