恋愛境界線

「課長、今日の夕飯はどうします?」


若宮課長に追い付き、隣に並んで歩きながら訊ねる。


「さっきまで滝の様に涙を流してたくせに、食欲は変わらずあるんだね」


「逆です。泣いたからお腹が空いたんです!プールに入った後にお腹が空くのと一緒です」


「何が、どう一緒なのかまるで判らないけど。どうせ帰るだけだし、このままどこかで食べて行こうか」


「はい!」と元気に答えると、チラリと横目で私を見てきた若宮課長と目が合った。


「……いや、やっぱり帰って食べよう。君のその顔をどうにかしないと」


「ひどっ……!」


「酷いのは、君のその顔」


多分、これは私をからかっているだけで、本当はそこまで酷くないはず。


そうは思うものの、でも、もしかしたら本当に酷い顔をしているのかもしれないし……。



< 174 / 621 >

この作品をシェア

pagetop