恋愛境界線
「課長、今日の夕飯はどうします?」
若宮課長に追い付き、隣に並んで歩きながら訊ねる。
「さっきまで滝の様に涙を流してたくせに、食欲は変わらずあるんだね」
「逆です。泣いたからお腹が空いたんです!プールに入った後にお腹が空くのと一緒です」
「何が、どう一緒なのかまるで判らないけど。どうせ帰るだけだし、このままどこかで食べて行こうか」
「はい!」と元気に答えると、チラリと横目で私を見てきた若宮課長と目が合った。
「……いや、やっぱり帰って食べよう。君のその顔をどうにかしないと」
「ひどっ……!」
「酷いのは、君のその顔」
多分、これは私をからかっているだけで、本当はそこまで酷くないはず。
そうは思うものの、でも、もしかしたら本当に酷い顔をしているのかもしれないし……。