恋愛境界線
課長の腕が、私の顔をわずかに人目から隠してくれてはいるけれど、余計に目立っている気がしてならない。
ドギマギしながら、急いで目元を手で擦った。
「やみました!やみました!」
泣き止んだことを焦って伝えた私のセリフに、課長がフッと笑う。「なんで二回?」と。
続けて私の顔を覗き込み、「あんなに泣いていたのに、本当に泣き止んでる。早いな」と。
そう言って、目元に触れてきた。
「なっ、なんですか!」
「何って、マスカラ。ついてたから」
「あ、そうですか……。有難うございます」
泣きすぎた所為なのか、課長に触れられたからなのか、目元が熱を持った様に熱い。
「ほら、行くよ」
青信号に変わったのを機に、足を踏み出した若宮課長の背中を慌てて追いかけた。