恋愛境界線
ところが、それを聞いた渚の表情は、途端にさっきよりも険しくなった。
「若宮さんの次は純だぁ!?馬鹿かお前は!いい加減にしろよ!純だって男だろ!何だってそう無防備なんだよっ」
「はぁ!?馬鹿は渚の方でしょう!?純ちゃんは女です!!」
「女が、『この間、遥がうちに泊まったんだけど一緒に寝ちゃった。遥の寝顔、すっごく可愛かったよ』なんて自慢気に言うか?」
「言うんじゃない?それくらい、私の寝顔が可愛かったってことでしょ?」
髪の毛をくるくると指に巻きつけながら言うと、またしても「馬鹿か」とツッコまれた。
課長も渚も、人に向かって馬鹿馬鹿と言い過ぎじゃないだろうか……。私は馬でも鹿でもないってのに。
「お前は一遍、自分の寝顔を見てから物を言え。つーか、そんな無防備だと、ほんと寝てる間に襲われるぞ」
渚の言っていることが、全くもって判らない。
私の寝顔は可愛くないと貶したくせに、そんな私が寝てる時に純ちゃんに襲われるとか、支離滅裂過ぎる。
純ちゃんがブサイク好きならともかく、そんな話は聞いたことがないから、さっきから渚の言ってることには一貫性がない。
第一、純ちゃんは何度も言ってる様に女の子なんだから、仮に寝込みを襲われる心配をするならば、私よりも渚の方だと思うのだけれど……。