恋愛境界線
残念ながら、私はハエではないので、こんなことで簡単に追い払われはしないんですよ、課長。
「言っても判らないかもしれないけど、言わなきゃ判らないことだってあるじゃないですか!」
「いいから、君は早く荷物を纏めて、緒方君だか純君だかの所へ行きなさい」
「どっかーん!」
「……は?」
仁王立ちで突如大声を発した私を、若宮課長が呆けた顔で見上げてくる。
「今のは、私の心の内の怒りのマグマが噴火した音です」
カッチーンとかプッツンレベルじゃないですからね!と説明を付け加えると、片手で目元を覆った状態で、若宮課長は「勘弁してくれ……」と言いながら俯いた。
疲れたとか、もう相手にしてられない、と言わんばかりの態度だ。
もう私とは向き合ってくれないのだろうか、と哀しい気持ちになりながら若宮課長を見下ろしていると、その肩が小刻みに震え出した。