恋愛境界線
「怒ってるんじゃなくて……その、何というか、苛ついてるだけだ。気にしないでくれ」
そんな、お腹が空いたライオンレベルの不機嫌さで、気にしないでくれと言われても……。
というか、『気にしないでくれ』と言われると、余計に気になってしまう。
「あの、若宮課長は何に対して苛ついてるんでしょうか?」
ライオンに媚を売るハイエナの如く、低姿勢で若宮課長の様子を窺う。
「……君には関係ない。例えあったとしても、言ったところでどうにもならない」
「そんなの言ってみなくちゃ判らないじゃないですか!」
私はハイエナではないので、被ったハイエナの皮はあっけなく脱ぎ去り、ライオンの如く強気に詰め寄った。
だけど、若宮課長は私をハエと勘違いしたのか、追い払う様な仕草で手を払った。
「言わなければ判らないなら、言っても判らないだろ」