恋愛境界線

「怒ってるんじゃなくて……その、何というか、苛ついてるだけだ。気にしないでくれ」


そんな、お腹が空いたライオンレベルの不機嫌さで、気にしないでくれと言われても……。


というか、『気にしないでくれ』と言われると、余計に気になってしまう。


「あの、若宮課長は何に対して苛ついてるんでしょうか?」


ライオンに媚を売るハイエナの如く、低姿勢で若宮課長の様子を(うかが)う。


「……君には関係ない。例えあったとしても、言ったところでどうにもならない」


「そんなの言ってみなくちゃ判らないじゃないですか!」


私はハイエナではないので、被ったハイエナの皮はあっけなく脱ぎ去り、ライオンの如く強気に詰め寄った。


だけど、若宮課長は私をハエと勘違いしたのか、追い払う様な仕草で手を払った。


「言わなければ判らないなら、言っても判らないだろ」



< 187 / 621 >

この作品をシェア

pagetop