恋愛境界線
また、私には関係のないことだと拒絶されるだろうか。
こっそりと課長の顔色を窺うと、若宮課長は噛んでいたナッツを飲み込んだ後、淡々と語り出した。
「今まで、僕の周囲にはいなかったタイプの女性だったから」
「……じゃあ、どこが好きだったんですか?」
「どこ?さぁ、考えたこともなかったけど……そうだなぁ」
真面目に考えているのか、若宮課長はグラスの縁を親指でなぞりながら視線を手元に落とした。
「頭が良いから話していて気持ち良かったし、泉は距離を保つのも上手かったから……」
「心地良かったんですね」
「そう……何て言うか、多分他にも自分と似ている部分が多かったから、楽だったんだと思う」
あんな別れ方をした支倉さんのことを、こんなにも手放しで褒めるなんて、本当に好きってことだ。
気分はどん底だけど、聞いて良かったと思った。
これで、やっと決心がついたから。