恋愛境界線

どうして、私は課長をこんなに好きなんだろう。


他に好きな人がいると判っても尚、こんなに好きで。


好きなことが苦しいのに、それでも好きで。


自分でもどうしようもないこんな気持ち、今まで知らなかった。


だけど、だから、もうここには居られない。


若宮課長だって、私がここに居たら支倉さんをここへは呼べない。


それに、若宮課長の口から「出て行ってくれないか」なんて言葉を聞きたくない。


口では嫌味を言っていても面倒見の良い課長のことだから、自分の都合でそんなことは言い出せない――とか考えそうだけど。


だから、私はもうここから出て行こう。


仕事に対して真摯(しんし)で、部下思いで、本当は誰よりも優しいこの人を、もうこれ以上好きにならない為に。


諦められる様に。この感情が、胸の痛みが、早く薄れる様に。



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