恋愛境界線

課長は、私の顔を見て一瞬ピタリと静止すると、「もう一度言ってみなさい」と顔を強張らせた。


「だから、報道。この業界はマスコミ・プレス関係が重要ですからね。それから、連携。これは他部署との連携のことですよね。企画部だけで商品を作って売り出すわけじゃないですし。そして、早期解決。これは特に仕事上でミスやトラブルを起こした時に心掛けるべきことじゃないですか!」


それぞれの頭文字を取って《ほうれんそう》と呼ばれることは、社会人なら当たり前の知識だ。


文句のつけようもない完璧な説明に、ドヤ顔で若宮課長を見上げる。


「……君は、本気で言ってるのか?それとも、下らないジョークか何かの類か?」


「ジョークとか意味が判りません。課長こそ何なんですか?」


「何なんだ、はこっちのセリフだ。よくもまぁ、そこまで見事に履き違えたまま社会人をやってこられたな」


課長は、ほとほと呆れた、と言わんばかりの態度で私を見下ろしてきた。


「ほうれんそうは、《報告、連絡、相談》だ」


まさか!


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