恋愛境界線
「……君は今、緒方君と一緒に暮らしているのか?」
てっきり、仕事の事で何か訊ねられるとばかり思っていたのに。
予想外の方向からの質問に、「へ!?」と間の抜けた声が洩れた。
どうして若宮課長が、こんなことを訊いてくるんだろう?
私が渚と暮らしているのかどうか、それが一体、課長に何の関係があるというのか。
以前、私が休憩中に仕事とは関係のない質問をした時には、そういう話はしたくないと言ったくせに。
質問の意図や課長の真意が読めないことに対しても、焦りにも似た苛立ちが込み上げてきた。
「……それって、答える必要がありますか?」
苛立ちは抑えたつもりだったけれど、自分でも冷ややかだと感じる温度で声が響いた。
「いや。ただ、製造の方に送っておくように頼んだ図案を、君は間違えて送ったそうじゃないか」
「えっ?図案って……私は言われた通り、添付メールからプリントアウトした物をファックスしましたよ?」