恋愛境界線
説教か嫌味だと思っていた私にはまさかの変化球だけど、放たれたのはド直球の疑問形。
「……言いたくない、です。それに、課長には関係がないじゃないですか」
「君だって、私に泉のことやプライベートなことを訊いてきたじゃないか」
「それは、そう、ですけど……。でも、」
「しかも、関係がない?散々迷惑を掛けておきながら、関係ないとかよく言えたものだな。昨日、こっちはあんな格好だったというのに、君は急に意識を手放すし、あれからどれだけ大変だったことか」
昨日のことは、ほっといてと言ったのに課長が勝手に構ってきたんじゃないですか――なんて言えない。
言えないのは、散々迷惑を掛けてしまったからじゃなくて。
掴まれた手の温もりや、抱きしめられた腕の優しさを思い出したら、そんなことはもう言えなくて。
迷惑を掛けたことに対して、すみませんと謝ろうとした矢先、課長がぼそりと呟いた。
「確かに、私には関係のないことかもしれないが、それでも心配をしたらいけないのか?」