恋愛境界線
下着姿ってことは、してない可能性も捨てきれないし、した後に自分で身に着けた可能性だってあるわけで。
課長に至ってはTシャツを着てはいるものの、それだって事の後に着たのかもしれないし。
記憶がないから、とにかく全く判らない。
こんな時だというのに、なぜか唐突に誰かが言っていた言葉を思い出した。
『人生には3つの坂がある。上り坂、下り坂、そして――まさか』
親戚の結婚式だったか、入社式の時だったか、とにかく誰かのスピーチで初めて耳にした時『それこそ、まさか!』と思ったけど。
ついでに言えば、その時はギャグかと思って最後のボケに盛大に笑ってあげようと思ったけど。
周囲の人たちが余りに真面目に耳を傾けていたから、私はまさかってどんな坂だ、と心の中でツッコむだけにしておいた。
だけど、今がそれ。まさか!
『まさかとは思うけど、昨日のこと覚えてないとか言うんじゃないだろうな?』
まさか、私、昨日、課長としちゃったの!?