恋愛境界線
「あのー…、一つお聞きしたいんですけど、服って私が自分で脱いだんでしょうか……?」
ついでに、人生には3つの坂があるっていうのは、誰の言葉なのかも教えて頂きたい。
けれど、いまはその件に関しては伏せて、恐る恐る自分の現状に至った経緯だけを訊ねる。
「服?服は、私が脱がせた」
決まり悪さの様なものは微塵も感じさせずに、若宮課長はサラリと答えた。
私の服を脱がせた挙句、同じベッドで寝ておきながら何もなかったとか、有り得ないよね……?
そういえば、心なしか腰が痛い。
ぶっちゃけ、25年間生きてきて一度も経験がないからよく判らないけど、次の日は腰が痛いって言ってる子もいたし。
つまり私、昨日課長としちゃったんだ……!
やばい、泣きそう。初めてなのに記憶が一切なくて、相手は自分の上司とか、まさかを通り越して人生の下り坂だ。
「──今の質問とその様子からすると、君は昨日のことは記憶にないわけだ?」