恋愛境界線

体温計を渡して熱を測らせると、数字は38度台の数値を示した。


「薬を飲んで寝ちゃって下さい。あーっと、その前に、何か軽く胃に入れないと……」


ご飯、食べられますか?と訊ねれば、要らないと一言。


それならと、さっき買ってきたばかりのコンビニの袋の中から、サンドウィッチを取り出した。


レタスとハムだけのシンプルなサンドウィッチだから、食欲がなくても食べられるはず。


課長は2つ内の1つだけを手に取って食べると、残りは私に寄越して薬を飲んだ。


「私は寝るから、君ももう帰りなさい」


「でも、この間お世話になったことですし、お返しに今度は私が課長を介護します!」


「私はまだ介護が必要な歳じゃない」


「すみません、看病の間違いです。看病の」


いちいち細かい人だな、と思いながら冷却ジェルシートを課長の額に貼りつけた。


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