恋愛境界線
若宮課長の言葉に奥田さんが鼻白み、次に口元を歪めた。
「はっ。妙に強気だけど、副業のことがバレたら、いくらお前でもヤバいんじゃないの?しかも、女装だぞ女装」
やっぱり、まだあの画像は消されていなかったんだ……!
判ってはいたものの、その事実を目の前に突きつけられたことで、知らずに知らずの内に握りしめていた拳に力が入る。
「……ねぇ、若宮くんも奥田くんも、一体何のことを言ってるの?」
若宮課長の件に関しては初耳の支倉さんは、どこか不安そうに、交互に二人に視線を送っている。
「いくら人望篤い若宮とは言え、社内メールで全社員にあの画像を送り付けたら、皆はどんな反応をするかな?」
聞いているだけで不快になる様なことを、奥田さんは至極楽しそうに口にする。
確かに、私だって過去に同じことを盾に、課長に迫ったことがある。
例え、本当にばら撒く気はなかったとしても、私はこの人と同じことをした。
だから、私には怒る権利がない。