恋愛境界線
「本当にいざという時の為に、ちゃんと保険はかけてたんですけど……」
この状況でも現れないとなると、保険の意味がなかったかもしれない。
私の言葉に、支倉さんが「保険って?」と訊ねてくるのと同時に、やっとその“保険”が現れた。
「遥、悪い……っ!タイミング悪く親父に捕まって遅れた!大丈夫か!?」
万が一、何かあった時の為に、社内にいる渚に頼んでスマホを通話状態にしておいたのが、私の言う“保険”で。
息を切らして現れた渚は、私を見てギョッとした表情を浮かべた。
「って、なっ……!まさか、それ、アイツにやられたのか!?」
殴られた部分が熱を持っている気はするけれど、渚の反応を見ていると、そんなに酷いことになっているのだろうかと心配になる。
「大丈夫、何もなかったから」
「何もないってツラじゃないだろ、それは!」
そう言って私の方へと駆け寄ってくる渚の背後からは、もう一人の人物が姿を現した。