恋愛境界線
「何が仕方ない、だ。ソファがあるじゃないか、ソファが。この間と違って、汚れてもいないソファが」
この人、以前私が『ソファもあるでしょうに』と言ったことを、未だ根に持ってる……?
顔立ちはアッサリしてるのに、性格はそうではないらしい。
「自慢じゃないですが、私寝相の悪さには定評がありまして……」
だから、ソファから転げ落ちて腰を痛めたら大変かなぁって思ったりなんかして。
それに、火事のことがあって疲れていたから、ゆっくり寝たいということもあって、ちょこっとだけベッドを拝借しようと、課長が眠ったのを見計らって潜り込んだのだった。
「……本当に自慢でも何でもないな。そういうのは、恥ずかしながら、と言うんだよ」
「はい、すみません。でも、これだけ広いんですから、ちょっとくらい私に提供してくれたって良くないですか?」
今回は衣類をちゃんと身に纏っているわけだし、ダブルベッドという広さの上では、端に寄って眠れば身体が触れ合うこともない。
何より、課長も私もお互いのことを異性と思っていないのだから、この状況に特に不都合はないと思うのだけれど。