期間限定恋人ごっこ【完】番外編


「北条の奴、中学の頃すげぇ荒れてたぜ。もう負けなしって言われてた」



すごい荒れてた…負けなし…。



「強すぎて不良グループ作って年上のグループ潰しまくって地元じゃとても有名だったらしい」



誠人はどこまでも気高くて強かったことを知った。

それは多分、今も健在なんだろうと思った。




「中学卒業前に魑櫻の幹部直々に誘われたらしいけど、入らなかったって噂は聞いたことある」




族の地位が高い人から直接スカウトを受けたとか。

でも誠人が族に入っていなくて心底よかったと思う。



大怪我しなくていいし、いっつも心配する親のことを考えたら可哀想に思えてくる。
それに…似合わない。



誠人に暴走族は似合わないから、だから入っていなくてよかったとは思う。



「そ、ありがと」



ユカが礼を言って隣の席の男子から視線を私に戻すと「で、誰のおかげ?」と言うと私の答えを待った。



それは…__________




『誠人と…魑櫻の、おかげ』




そう、いじめがなくなったのは…メールを送ってくれた魑櫻とそうメールを送るよう頼んだと思われる誠人のおかげ。



私は誠人に助けられっぱなしだ。



誠人と出会ってたくさん助けられた、私だけじゃ解決できない問題も誠人がいとも簡単に解決してくれた。



条件を破ったのはあれだけど、酷いことを言ってしまったと思ってる。




「沙夜。北条に魑櫻との関係訊いちゃダメだからね?」


『分かってる。話してくれるまで待つから…』




話し終えたとき空気がよいとは言えない教室に先生が入ってくると他で喋っていた人も皆席に着いた。



4時限目は数学、教科担任の禿た頭を拝まないといけないわけで憂鬱だ。

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